学校関係者の新型コロナウイルス感染が確認されて高校野球鳥取大会の出場を辞退していた米子松蔭が一転して試合出場することが19日、決定した。鳥取県高野連が米子市内で会見。不戦敗取り消しと21日に境と2回戦を行うことを発表した。

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このまま最後の夏を終えていたら、一生の心残りになる。米子松蔭ナインの夢がつながり、まずはホッとした。不戦敗取り消しの結論を下した鳥取県高野連の判断に拍手を送る。だが一度は出場辞退になった過程に残念な思いも消えない。

誰も予測できないコロナ禍だ。ルールを定めつつ、状況に応じて「朝令暮改」もOKだろう。もっと柔軟に対応できなかったか。県高野連は感染予防ガイドラインや試合規定にとらわれて、弾力的に運用できなかった。出場辞退した17日の「20分の猶予」がその思いを強くする。

午前8時10分 メンバー交換締め切り

午前8時30分 保健所の検査開始

同校の長崎成輝校長は試合規定を把握しつつ「10分でも20分でも、延ばしてもらえないか」と要請した。8時10分の時点で選手は保健所近くで待機。すぐに検査を受けられる準備を整えていた。だが、対戦校が待つ。ルールで不戦敗。県高野連の田辺会長も「延ばすことは想定していない。時間的制約があるなか、どれくらい延ばすかまで考えは至らなかった」と話した。

一例を紹介する。ある高野連理事長は「各連盟で事情が異なる」と前置きして言った。「棄権を何とかして避けるのが前提。同一回戦内で変更できるなら当日でも検討します」。ケース・バイ・ケースで処す姿勢に触れた。田辺会長も「試合をさせたい心情は私も変わらない」と話す。思いは誰もが同じだ。コロナ禍で考え方が硬直化してしまいがちないま、1歩立ち止まって考えたい。教訓として生かしたい。【アマチュア野球担当キャップ=酒井俊作】