今秋ドラフト上位候補で最速154キロ右腕の高知・森木大智投手(3年)が、高知大会初戦の宿毛工戦(春野)に救援登板し“完全投球”の豪快発進だ。3回途中から登板。「省エネ」を心掛けて最速149キロで、5回2/3を無安打無失点で10奪三振。6球団7人のスカウトが視察して絶賛の嵐だった。球威、制球、さらには野球に対する姿勢まで高評価。8回コールド勝ちで好スタートを切った。

   ◇   ◇   ◇

試合を支配するエースの姿だった。森木が夏初戦で猛暑を吹き飛ばす力投を見せた。序盤は宿毛工ペース。3回1死二、三塁のピンチから救援した。最初の打者に中犠飛を許したが、格が違う。「50、60点です」と首をひねるが、4回以降はまともに打たせず、打者17人を完璧に封じた。10奪三振に、目利きが厳しいスカウトもうなるしかない。

阪神山本スカウト 速球は強いし、カーブやスライダーなど、すべて精度が高い。当然(1位候補)12人のなかに入ってくる。

巨人武田チーフスカウト 投球センスがある。非常に安定感があって、まとまっている。体も強い。無駄な力が入っていないから、ベース上でも球が伸びる。

春に比べて投球内容が充実する。自己最速154キロを投げた春季四国大会時より抜け球が減り、何より球の切れが増した。森木が「省エネで腕を振っても7、8割くらい」と話せば、浜口佳久監督(46)は「流れが初回から悪かった。(継投は)森木しかないなと。最終調整の前段階だった。脱力して力感がない中でも球が来ていた。指先に掛かる感覚がおとといから掛かりだした」と納得する。この日、登板直後の投球練習の初球は軽めに投げて144キロ。規格外の馬力だ。

剛腕の理想は高い。「相手が何もできない状態。バットにすら当たらない、打つ気もなくなるような。向こうのベンチから『打てる、打てる』と声が出ている時点でまだまだ」。内野ゴロを打って全力疾走を怠らない。野手と手をたたき合って鼓舞してマウンドへ。そういう姿にスカウトも好感を持つ。「こんなところで負けていられない」。強烈に存在感を示した土佐の快腕は、仲間と一丸で甲子園を目指す。【酒井俊作】

▽広島白武スカウト部長 力感がないなかで球がピッときている。自信を持って全部の球種でストライクを取れる。軽く投げて、145キロくらい出るからね。

◆森木大智(もりき・だいち)2003年(平15)4月17日、高知県土佐市生まれ。蓮池小3年時に高岡第二イーグルスで軟式野球を始め、内野手や捕手、投手を経験。高知中で1年時から投手。3年時に春夏の全国大会を制覇。高知では1年春からベンチ入りし、同年夏からエース番号1。最速は154キロ。184センチ、87キロ。右投げ右打ち。