名将の大胆采配が的中した。大垣日大(岐阜)の阪口慶三監督(77)が先発マウンドに送り込んだのは1年生の山田渓太(けいた)投手だった。「3回戦で投手陣が打ち込まれたので、制球のいい山田を持ってきた」と指揮官は説明。前夜に山田自身から「調子が良いです!」と熱烈アピールを受けたという。1年生右腕の意気込みを買い、「投げたいやつが投げるべき」と決断に至った。

先発した山田は6回を6安打1失点に抑え、勝利に貢献。それでも「結果的に1点に抑えたが反省の多い内容だった」と悔しさをにじませた。阪口監督は「今日は合格点」とまずまずの評価。打線も力投に応え、13得点で圧倒した。

半世紀以上も監督として夏を戦う指揮官は「1年生投手を夏の大会で先発登板させたのは、“バンビ”くらいじゃないかな」と振り返る。自身が東邦(愛知)監督時代に夏の甲子園で準優勝した時の1年生右腕、坂本佳一投手に山田をなぞらえた。「この先は奇策を使っていく。ここ一番ではベンチから自分で配球するかもしれない」と宣言。「阪口マジック」は今夏も健在だ。【山崎健太】