「盛付劇場」が夏の聖地で開演する。4年ぶり11回目出場の盛岡大付(岩手)は大会4日目(12日)の第4試合で登場する。初戦は茨城大会決勝で春夏2度の優勝を誇る常総学院を破り、初出場の鹿島学園(茨城)に決定した。主将の田屋瑛人捕手(3年)は「投打ともに高いレベルにある。常総学院を破ったチーム力の高さも感じる」と印象を話し、緊張感を高めた。

全国トップクラスの攻撃力が特徴だ。今夏の岩手大会5戦で54安打50得点し、チーム打率は3割7分5厘。つなぐ打撃に加え、7本塁打の長打力も光った。中でも金子京介内野手(3年)が、5戦連発となる同大会最多の5本塁打で打線をけん引した。田屋は「打ち勝つ野球を目標にやってきた。何点取られてもその分取り返すという気持ちで粘り強い打撃ができたら」と力を込めた。

長距離砲の金子以外にも注目打者がいる。関口清治監督(44)は攻撃のキーマンに松本龍哉内野手(3年)を挙げ「1番の松本が出塁してクリーンナップが返せるかになる」と強調した。不動の「1番三塁」で、チーム最多の高校通算64本塁打を誇る左のスラッガー。金子も「打率を残して長打も打てるのはすごい」と認めるリードオフマンが好機を生み出す。

初戦の相手にも運命を感じている。同校が前回、甲子園に出場した19年春のセンバツは初戦で石岡一(茨城)と対戦した。田屋は「今大会も茨城代表の鹿島学園さんとやらせていただくということで、ワクワクしています」。また、鹿島学園・鈴木博識監督(71)は岩手県高野連のアドバイザーを務めた時期があり、関口監督は「まさか甲子園で対戦させていただけるとは本当に思っていなくて光栄です」と言葉を弾ませた。

同校の最高成績は17年の8強だ。田屋は「全国制覇という目標でやってきた。甲子園球場に立てて野球ができること、今まで支えてきてくださった方々に感謝しながら1戦1戦、1球1球にしがみついてやっていきたい」。伝統の猛打で全国制覇を実現する。【相沢孔志】

▽鹿島学園・甲斐竣介主将(3年=盛岡大付の印象) 「投打ともにバランスの良いチーム。特に打撃という部分はトップクラスかなと思いますが、自分たちの野球ができたらいいなと思います」