熊本工が長崎商との隣県対決に敗れ、出場3大会連続の初戦突破を逃した。1回表に先頭打者からの4連打など13安打を放ったが、4得点止まり。4併殺も食い、12残塁と決定打不足に泣いた。

田島圭介監督(40)は「あと1本出ませんでした。本当にあと1本。私の力不足です」と無念そうだ。先発の技巧派右腕・吉永粋真(3年)が3回1/3を投げ、11安打8失点。吉永は「甲子園は独特の雰囲気で、緊張もした。真っすぐが抜けてしまって、うまくコントロールできず、自分の投球が全然できなかった」と言う。田島監督も「1、3回のビッグイニングは想定外」という序盤の大量失点で、主導権を握れなかった。

高校球界有数の名門校は来年、創部100年を迎える。巨人OBの故川上哲治氏、元広島外野手の前田智徳氏、元中日内野手の荒木雅博氏ら多くの名選手を輩出した伝統校だが、田島監督は「最近は周りからよく“古豪”と呼ばれますが“強豪”にしようと精進していかないと。今日もその思いを痛感しました」とこぼす。最近の夏の甲子園では96年大会で準優勝。決勝で松山商の“奇跡のバックホーム”に敗れたものの、健在ぶりを世間に見せつけた。しかし、21世紀は出場8度で最高成績が06年大会の3回戦で、上位進出がかなわずにいる。

この日2安打2打点だった2年生4番の増見優吏は「来年はもっと大きくなって、この舞台に戻って、絶対に勝ちたい」と悔しさをあらわにした。2番手で3回2/3無失点と力投した2年生右腕・松波勲典は「今まで先輩に教えてもらったことを生かして、来年は(甲子園で)優勝目指して頑張りたい」。屈辱を糧に再出発する。