復権を目指す聖光学院が4-3で学法福島を下し、新チーム初陣となった県北支部大会を制した。先発したエース佐山未来投手(2年)が9回を5安打3失点で完投勝ち。気迫を前面に出した新投球スタイルで、2回1死から5者連続三振を含む15奪三振もマークした。打っては7回無死三塁から勝ち越し犠飛を放ち、投打で活躍。18年以来4年ぶりの来春センバツ出場に向けて好スタートを切った。秋季福島県大会は15日に開幕する。

「おっしゃー!」。背番号1の佐山がほえた。4-3と1点差に迫られた9回2死。最後の打者を直球で空振り三振。129球の完投劇。新チームで臨んだ初陣を県北支部優勝で締めた。「最終回だったので出し切ろうと思った。ホッとした気持ちではないですけど、体の力が抜けてやり切れたなという感じです」と汗をぬぐった。

エースの風格が漂った。回を追うごとに気迫が増す。キレのある直球に多彩な変化球を織り交ぜながら、初回から3回まで完全投球。2回1死からは5連続三振を奪い、相手を寄せつけなかった。1-0の7回2死一、二塁では投ゴロを一塁に悪送球し逆転を許したが、大崩れはしなかった。9回を5安打3失点。15三振の快投だった。新チームから背負う名門の「1番」。自覚は十分だ。

佐山 チームを背負っている。自分が折れたらこのチームは終わりだと思ってやっている。やるべきことを最大限やっていきたい。

その闘志は野手にも伝染した。7回に逆転されたが、その裏に2連打ですぐ同点。なおも無死三塁から佐山の中犠飛で勝ち越し。8回にも1点を追加し、終盤に勝負強さを発揮した。斎藤智也監督(58)は「(佐山は)エネルギーと執念がほとばしる、これぞ投手だという投球だったな。投手がマウンドを死守する空気が野手にも伝わって、攻撃のリズムが生まれたんじゃないか」と目を細めた。

夏の福島大会では準々決勝で光南に敗れ、14大会連続甲子園出場はならなかった。敗戦翌日から赤堀颯主将(2年)を中心に新チームが始動した。「自分たちは王者でもない。本当の意味での挑戦者。チームとして1つになっていきたい」。目指すは18年以来の来春センバツ切符。チーム一丸でつかみにいく。【佐藤究】