釧根地区の代表決定戦で、釧路江南が今夏北北海道大会出場の釧路北陽を8-1の8回コールドで下し、全10地区で全道進出一番乗りを決めた。エース兼主将の松田祥汰が、弟で釧路北陽の松田隼汰主将(ともに2年)とツインズ対決。6回からリリーフ登板し3回1失点、打撃でも2安打2打点で、15年ぶりの秋全道切符を引き寄せた。

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兄が勝った。釧路江南・松田祥汰は最後の打者を三振に仕留めると、静かにマウンドを降り、北谷勇樹捕手(2年)とグラブタッチした。「全員で勝つという思いでやってきた。いつも通り投げられた。まず地区優勝できてうれしい」。大きな歓声も笑顔もなし。双子の弟との勝負を制し安堵(あんど)の表情を浮かべた。

兄弟が両チームの主将。兄祥汰は4番二塁で先発。8回1死三塁で右越え適時三塁打を放つなど2安打2打点。弟隼汰は3番遊撃で先発し3打数無安打2三振と明暗が分かれた。6回裏から祥汰がリリーフ登板すると、その回いきなり隼汰に打席が回った。最初の対決は隼汰が四球を選び、8回の対決は、祥汰が三振に切って取った。直接バトルは“ドロー”も隼汰は「チームとして負けて悔しい。秋に出た課題を持ち帰って次は勝てるように頑張りたい」と強い口調で話した。

24日に組み合わせが決まり、ともに代表決定戦まで勝ち上がれば対戦することになった。祥汰は「家では野球のことは話さない。でも内心、代表決定戦で対戦できたらいいなと思っていた」。夏は隼汰の釧路北陽だけが北大会に進出し8強入りした。当時三塁手だった祥汰は、地区代表決定戦で別海に4-6で惜敗した。「気持ちで負けていた。夏場は全員で声を出し合うことから始めた」。敗戦の教訓が生き、序盤は0-0も、集中を切らさず、終盤一気に突き放しだ。

北海道教大釧路中まではチームメートで祥汰が投手、隼汰が捕手のバッテリーを組んでいた。高校で初めて実現したツインズ主将対決。今度は祥汰だけが道大会に駒を進める。夏の北大会で1勝している隼汰は「1回戦で負けたら許さない」とあえてプレッシャーをかけた。祥汰は「やるべきことをやって、まず1つ勝てたら」。一番身近なライバルの思いも背負い、全道に挑む。【永野高輔】