札幌地区の代表決定戦で、札幌第一が札幌龍谷学園に12-0の5回コールドで勝ち、2年連続25度目の全道大会出場を決めた。7番村田陽和(ひっと)左翼手(2年)が先制打含む2安打3打点で地区突破に貢献した。

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「ヒット、ヒット!」。札幌第一の7番村田が打席に立つとベンチから威勢の良い掛け声が響く。名前は陽和と書いて「ひっと」。第1打席から名前を体現した。2回無死二塁。右翼線の適時二塁打で先制点をもたらした。4回1死二塁でもまた適時二塁打。大勝につながり「いい形になって良かった。前の2試合(2、3回戦=計6打数2安打)まで名前負けしていた」と納得の表情を見せた。

旭川大高の球児だった父崇さんから名付けられた。「いっぱいヒットを打って欲しい」という願いを込められた。「すぐ覚えてもらえる」ことで得するが「なかなか読んでもらえない」と笑う。アルファベット表記では「HIT」にはせず、ローマ字読みに従い「HITTO」と表記する。札幌札苗北中3年の弟は光和(らいと)。投手兼外野手だ。

監督歴20年の菊池雄人監督(49)も野球愛あふれた名前を持つ選手に数多く出会ってきたが「初めて」というヒット君。そんな7番打者について「シュアな打撃をする」と評価する。村田は代表決定戦に向けて、体が開き気味だったのを修正し、遊撃手の頭上を越える打撃を意識し、ヒット2本につなげた。

札幌札苗北小3年から野球を始め、父子で公園でキャッチボールをしてきた。「小さいころから『札幌第一で甲子園を目指せ』と言われていた」。同校の打撃が好きだった父の言葉どおり進学し、2年春に背番号17で初めてベンチ入りを果たし、今秋背番号7を勝ち取った。全道でも聖地へ導くヒットを放ち続ける。【保坂果那】