秋季高校野球新潟県大会は21日に開幕する。県内に発令されていた「特別警報」(3~16日)のため、9日開幕の予定がずれ込んだ。コロナ禍で夏の県大会出場を辞退した中越はたまったエネルギーを打撃にぶつける。中心は3番増田恒輝右翼手、4番杉田海人二塁手、5番川村遥希一塁手(いずれも2年)のクリーンアップトリオ。初戦2回戦の長岡高専戦(23日)から猛打を爆発させる。

参加68チーム、秋にかける思いは中越がどこよりも強い。夏は新型コロナウイルスの感染者が校内に出たため、臨時休校となり出場を辞退。「3年生の分まで背負う」と3番の増田は話したが、その言葉は例年とは比較にならないほど重い。

中越は従来のスタイルを捨てた。「最少失点でリズムをつかむ」という戦術をこの秋は取らない。コロナ禍での準備不足もあるが、現チームは打力のある選手がそろった。本田仁哉監督(45)は「振って振って。打って打って。攻めて攻めて」とスタイルの転換を明かした。その攻撃野球を象徴するのが増田、杉田、川村のトリオだ。

クリーンアップトリオは平均身長177・3センチ、同体重79・7キロ。3人ともリーダー的な副主将を務め、共通するのは右投げ右打ち、そして長打力だ。増田はチャンスを作る3番で、「逆境でも打つ」という4番杉田は勝負強い。5番川村は打球の伸びが群を抜く。それぞれが個性を発揮し、打席で役目を果たす。

県独自の特別警報が解けた17日から練習を再開した。その前日に3人は夏に悔しい思いを味わった3年生からこう言われた。「お前ら3人が打ってチームを引っ張ってくれ」。秋の勝利へ。増田、杉田、川村のまなざしは鋭さを増した。【涌井幹雄】