昨秋の宮城・東北王者、仙台育英が6-0で利府に快勝し、決勝に進出した。10年連続優勝に王手をかけ、東北大会(10月20日開幕、宮城)出場も決めた。

エース左腕、小林寛大投手(2年)が公式戦初完封。打たせて取り、無四球、被安打5でまとめた。攻撃では9盗塁をからめて着実に加点。東北は8回コールドの9-2で聖和学園を破り、2年連続で決勝に駒を進めた。26日は名門校同士の「黄金カード」で宮城王者を争う。

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“打たれない男”小林が公式戦初完封を飾った。最後の打者を左飛に打ち取ると笑顔で整列。最速137キロの直球とカーブ、スライダー、チェンジアップの変化球3球種を自在に操り、凡打の山を築いた。「ここで抑えられなかったら、東北大会もセンバツも投げられないと思い、気を引き締めて投げました」。エースナンバーを背負いながらも、ラストチャンスの決意で121球に魂を込めた。

立ち上がりで苦しんだが、粘った。初回、先頭に二塁打を浴び、犠打を決められて1死三塁のピンチ。それでも後続を捕邪飛と空振り三振に仕留めた。2回にも1死から三塁打を浴びたが、無失点で切り抜けた。

チーム内では被打率、与四球率がNO・1で、制球力を武器に抜群の安定感を誇る。しかし、8-0の8回コールドで勝利した23日の準々決勝・仙台南戦では、最終回に3番手で登板し、打者5人に2安打1四球。無失点だったものの、課題の残る投球となった。

小林は本来のローテーションでは決勝戦の登板が予定されていたが須江航監督(38)は「前回の登板が非常にふがいなかった」と準決勝に回した。利府戦では「『自分のピッチングができるようにチャレンジしよう』と送り出し、言ったこと以上のことをしてくれた。今日は小林のピッチングに尽きます」と絶賛した。

仲間にバトンを託した。小林は「決勝で投げたい気持ちもあったが、ここ(準決勝)を投げないと決勝がないので、勝利につなげられてよかったです」。決勝で戦う東北には公式戦6連勝中。宮城の盟主の座は譲らない。【山田愛斗】