天理(奈良)が競り合いを制した。土壇場の9回2死から同点に追いつかれた直後だ。延長10回1死二塁で3番の戸井零士内野手(2年)が左翼線に勝ち越し適時二塁打を放った。先発の南沢佑音投手(2年)は8回まで無失点と好投したが9回につかまった。内野ゴロの間に1点差に迫られ、代打藤田英志外野手(2年)に右翼へ同点アーチを食らっていた。暗雲を吹き飛ばす主将戸井の一撃になった。3回には4番の内藤大翔内野手(2年)が左翼フェンス直撃の先制適時二塁打を放つなど、クリーンアップが元気だ。

南沢は高校入学後初の完投で10回を投げきり、2失点だった。「8回くらいまで自分のペースで投げられた。自分の理想は達さん。投手が投げることでチームが上がってくる、影響力のある存在にならないと」。11日のドラフト会議で日本ハムに1位指名された達孝太投手(2年)をエース像に挙げた。

自己最速は139キロだが188センチ88キロと肉体に恵まれる。3日の秋季奈良大会準決勝の高田商戦で6回12失点。それまでは球の角度を追い求めて上から投げ下ろしたが、悔しい敗戦で、サイド気味に腕を下げて投げ始めた。制球力が向上し、この日も好投した。中村良二監督(53)も「今日の試合は、ここまで来たらエースで勝負をつけないと。この1試合で(南沢は)成長した気がします」とたたえた。名門が、2年連続のセンバツ出場に向けて好発進した。