来春のセンバツ出場校を決める重要な参考資料となる秋季近畿大会が17日、滋賀・皇子山で行われ、東洋大姫路(兵庫)が夏の甲子園準優勝校の智弁学園(奈良)を2-0で下し、8強入りした。エースの森健人投手(2年)が9回無四球完封。守備も無失策で守り勝ち、08年以来14年ぶりのセンバツ出場に王手をかけた。

金光大阪は、先発の古川温生(はるき)投手(2年)が9回11奪三振で高田商(奈良)を完封し、2-0の接戦を制した。

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東洋大姫路が「栄光の勝負服」で智弁学園に完封勝ちだ。金縁で刺しゅうされた胸の「TOYO」が光った。先発森は言う。「甲子園に出たら着られると分かっていた。監督も最後。このユニホームで負けられない」。藤田明彦監督(64)は22年3月で退任。花道を飾ろうと選手が熱望した。通常の白縁ではなく、甲子園仕様の戦闘服で戦った。

試合は森の独壇場。序盤からカーブなど変化球を多投。「森=内角速球」という相手の先入観の裏をかき、得意な内角速球を減らした。「緩急差があれば打ちにくい。目線をずらす意味でもカーブで相手の絞る球を外せた」。外角低め速球に加えて、要所で懐も突く。5、6回は2死一、三塁のピンチを切り抜けた。

藤田監督も対戦前、暗示をかけた。「名前負け、してないからな」。夏の甲子園準優勝校に気後れなし。試合映像も見て「仕上がりは意外にできていない。対等に戦えるんちゃうか」。同校も春夏19度の甲子園出場で77年夏制覇の伝統校。11年夏を最後に遠ざかるが、誇りは受け継がれる。

8回はエンドランから加点。好守連発の無失策も生きた。指揮官は「10年ぶりに着させてもらった。難しい打球も粘り強く守ってくれた」と言う。24日の大阪桐蔭戦で、悲願の甲子園に一丸で挑む。【酒井俊作】