八戸工大一(青森2位)が、7回0封で初戦を突破。11年ぶりの聖地へ1歩前進した。山形県大会で毎試合2桁安打の酒田南打線にほとんど的を絞らせなかった。

長谷川菊雄監督(45)が「日本一無口で暗いバッテリー」と評する広野風雅(2年)-葛西凜捕手(2年)が、この秋に頭角を現してきた。「県大会に続き、立ち上がりが安定していた。(県大会の)連戦に不安もあったがうまく乗り越えてくれた。その経験が今日の好投につながったと思います」と振り返った。広野は淡々とした投球でアウトを積み重ね、最後の打者を空振り三振。21個目のアウトを取ったバッテリーは静かにグータッチ。葛西は「ミスしたときに態度に出ていたが、そこを支え合いながら成長できたと思います」。発展途上のバッテリーは東北一のバッテリーを目指し、1歩1歩駆け上がる。

先輩の支えが実を結んだ。県大会決勝後には課題の「低めの見極め強化」のため、ドラフト会議で西武5位指名を受けた黒田将矢投手(3年)らと練習。実践練習を繰り返し、選球眼を磨いた。この日は3四球に加え4個の犠打で相手を翻弄(ほんろう)。9安打で7得点と効率のいい攻撃を展開した。

社交的な黒田と静かな広野の共通点は「負けず嫌い」。うまくいかない場合はひたすら練習を繰り返す。その姿勢でつかんだ背番号「1」。プロの舞台へ進む先輩の思いも胸にセンバツ出場へ近づいていく。【濱本神威】