春夏甲子園3度優勝の報徳学園(兵庫)が粘りの野球を見せた。2点を追う8回1死二塁。右飛で二塁走者の岩本聖冬生外野手(2年)が三塁にタッチアップした。だが、右翼手がアウトカウントを間違ったのかすぐ内野に返球せず、そのスキを突いて、一気に三塁を回った。智弁和歌山はあわてて中継プレーに入ったが、本塁送球がわずかに浮いて間一髪のセーフ。1点差に詰め寄った。二塁からタッチアップして生還する衝撃のプレーだった。

惜敗したが、大角健二監督(41)は「大差負けしてもおかしくなかった。ここまで粘れて、プラスにとらえたい。けん制とか前を狙いに行く姿勢でのアウトはマイナスに考えていない。最後まで緊迫したなかで(タッチアップの)岩本の走塁は、アウトになったら窮地に立たされるところでも積極性が見えた」と評した。

試合の先手も奪った。プレーボール直後の1回表、先頭の堀柊那捕手(2年)が智弁和歌山先発の塩路柊季投手(3年)のスライダーを完璧にとらえた。打球は左中間芝生席へ。ド迫力の先頭打者アーチを披露した。中盤以降、劣勢に立たされたが、終盤にもりかえして意地を見せる。

同校は春夏甲子園36度出場の名門だが、18年夏を最後に甲子園から遠ざかっている。元オリックス、阪神の葛城育郎氏(44)が昨年からコーチに就き、打撃改革を進めるなか、この春は存在感を強めている。

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