北海道科学大高が滝川西を11-0で下し、3年ぶり14度目の優勝を飾った。背番号15の1年生右腕、大谷哲也投手が公式戦初登板初先発で、7回2安打無失点の好投。攻撃では9番青木翔太郎捕手(2年)が、先制打を含む2安打3打点と14安打の打線を引っ張った。全国大会(24日開幕、兵庫・明石トーカロほか)では、まずは初戦突破を狙う。

北海道科学大高が3年ぶりに全国切符を手にした。1年生右腕の大谷が試合をつくった。公式戦初登板初先発に「いつもの倍、緊張した」と言いながらも、落ち着いていた。直球を軸に相手打線を7回2安打無失点。初回先頭打者に死球こそ与えたが、2回以降はパーフェクト投球を続けた。7回2死一、二塁のピンチを招くも、5番得地を三振に抑え切り抜けた。「先輩たちに声をかけてもらってバックに支えられた」と汗をぬぐった。

大谷は兄卓未さん(20)の影響もあり、同校で軟式野球をする道を選んだ。兄は同校の主戦として高校3年の19年に全道制覇し全国大会に出場。だが1回戦で矢掛(岡山)に敗れ、全国1勝はならなかった。この日スタンドで見守った兄の前で好投を披露し「兄の分まで頑張って、1勝したい」と目標をきっぱりと口にした。

選手たちは特別な思いを持ちながら、今夏を戦っている。同校は来春、札幌・豊平区中の島から、大学のある手稲前田キャンパスに移転する。これに伴い、南区真駒内の駒岡運動場にあるグラウンドが使えるのは、今の代がほぼ最後になる。前身の北海道工時代から長く使用されてきた歴史のある練習場だけに、全道大会前、大友宏記監督(39)を中心に「ここに戻ってきて、また練習をしよう」と長い夏にすべく誓い合った。同監督は「グラウンドが最後になってしまうというのは非常に大きいこと。この子たちが思いに応えてくれた」と勝利をかみしめた。

チームはこれまで夏の選手権に13度出場。北海道工時代の94、95年、北海道尚志学園時代の15年と4強進出はあるが、日本一という高い壁に何度もはね返されてきた。赤瀬太一主将(3年)は「結果を残したい。変わらず自分たちの野球ができたら」。満を持して大舞台に挑む。【山崎純一】