今春センバツ準優勝校近江(滋賀)が豪快に初戦突破した。主役は今秋ドラフト候補に挙がるエース右腕、山田陽翔(はると)投手(3年)だ。初回から今大会最速で自己最速に1キロに迫る148キロをマークするなど全開で、8回まで4安打2失点、無四球とスイスイ。2年夏から数えて甲子園11度目の登板で最多、毎回の13三振を奪った。

試合前の山田は多賀章仁監督(62)の耳に届くように「絶好調や」とつぶやいた。「絶好調?」と聞き返す指揮官に、右腕は笑顔を向けた。「調子は良くなかったけど、自分で暗示をかけたかった」。そんな強がりが勢いを生んだ。

序盤はしびれる展開。初回は1点を先制された直後、4番打者として自らの適時打で同点に。再び1点を追った5回は2死二塁で、山田は今大会初となる申告故意四球で歩かされ、続く横田が逆転の2点三塁打を放った。投打に踏ん張る山田を中心に、チームは聖地に響き渡る近江応援歌「アルプス一万尺」にも押され、6回に1点、7回は大橋の2点二塁打などで3点を加えた。鳴門のエース冨田との投げ合いはロースコアが予想されたが、好左腕に14安打を浴びせ8得点を奪った。

センバツは新型コロナウイルス感染のため開幕前日に出場辞退した京都国際に代わって出場し、準優勝。両校は6月には練習試合を行い、夏の健闘を誓い合った。山田は、前日6日にサヨナラ負けした京都国際のエース森下から「頑張ってくれ」と連絡をもらい、思いに応えるように好発進した。2回戦の相手は鶴岡東。最後は主将の顔で「相手関係なく自分たちの野球を甲子園でやりたい」ときっぱり言った。【竹本穂乃加】

 

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