大阪桐蔭がお家芸のアーチ攻勢で初戦の窮地を脱し、春夏甲子園通算70勝目を挙げた。西谷浩一監督(52)は「しぶとく粘り強い野球がウチの身上。そういう野球を前半は相手にされてしまって苦しくなってしまった。向こうは攻めてくる。こっちは受けてしまう形になってしまった」と話した。

3回までに3点を先行される予想外の展開になった。今夏、大阪大会を通じて初めて先制された。じわじわ追い上げるが、打ちあぐねた。1点を追う6回、先頭の海老根優大外野手(3年)が内角速球をとらえて左翼に同点アーチを放った。海老根は「先頭打者でとにかく塁に出ることを意識して。チームに勢いを与えられて良かった」と振り返った。ダイヤモンド1周後はベンチで西谷浩一監督(52)から「うまく浜風が押してくれた」と声をかけられ、貴重な一打を称賛された。さらに、7回も先頭の伊藤櫂人(かいと)内野手(3年)が左中間に勝ち越し本塁打。この回は一挙3点のリードを奪った。

指揮官は「(相手先発は)もう少しストレートが多いイメージ。変化球をうまく使われ、打つより、打たされる打撃になった。ホームランの効力、貴重な1発になったがもう少し、しっかりつなぐ打撃をしないといけない」と気を引き締めた。

優勝した今春のセンバツは大会史上最多のチーム11本塁打を放っていた。海老根、伊藤も2発ずつ。この日は左翼から右翼に吹き込む浜風に乗せて豪快な放物線を描いた。3点ビハインドを貫禄の逆転勝ち。海老根は「初戦突破できてチームが勢いに乗ってくる。流れに乗っていきたい」と気合十分。3度目の甲子園春夏連覇に向けて、まずは順当に白星発進だ。

○…今秋ドラフト候補の松尾汐恩(しおん)捕手(3年)は3安打2打点発進だ。0-3の3回2死一、二塁で一、二塁間を破り、チーム初打点。7回も適時二塁打でダメ押しの3点奪取に貢献した。「先に点を取られる形になったけど、どんな展開でも自分たちを信じてやると話し合ってきました」。センバツは準決勝・国学院久我山(東京)戦、決勝・近江(滋賀)戦で2試合連続アーチを放ち、持ち前の長打力を印象づけた。今夏も、最も注目される打者の1人だ。

◆春夏通算70勝目 大阪桐蔭は春夏通算70勝目(春31勝、夏39勝)。歴代9位の智弁和歌山に並んだ。夏の39勝は県岐阜商に並ぶ9位。

◆初戦10連勝 夏の初戦は05年から10連勝。(1)中京大中京17連勝(2)明徳義塾16連勝(3)PL学園11連勝に次ぎ、智弁学園と八戸学院光星に並ぶ4位。

◆学校通算90号 大阪桐蔭の甲子園での本塁打は区切りの90本に到達。学校別本塁打上位は(1)大阪桐蔭90(2)PL学園70(3)智弁和歌山60。

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