今大会注目のスラッガー、高松商・浅野翔吾外野手(3年)が初戦から2本塁打と大爆発。あまりの猛打ぶりが、思わぬハプニングを呼んだ。ベンチの指示を勘違いした選手に代わって、球審が謝罪するシーンがあった。

7-2とリードを広げ、なお8回1死一、二塁の場面。浅野を打席に迎えると、佐久長聖ベンチから伝令が出た。それを申告故意四球の指示と早とちりした捕手が、球審に敬遠を申し出。球審は1度は故意四球をコールした。浅野も一塁に歩いたが、佐久長聖から指摘を受けると、球審は浅野の打席に戻した上で、マイクを手に取った。

「捕手より申告故意四球の申し出がありましたが、訂正ということで、伝令の間違いでした。申し訳ありません」。

完全な捕手の勘違いだったが、審判として、ベンチの意図と違うコールをしたことを場内に謝罪した。

2本塁打を打たれたあと、佐久長聖の藤原弘介監督(48)は寺川裕也捕手(3年)に「次、回ってきたら敬遠する可能性がある」と伝えていたという。それが頭にあった寺川は「自分も冷静になれていなかった。監督さんの声が聞こえなくて、タイムがかかったので敬遠と勘違いしてしまいました」と振り返った。

故意四球がコールされた時、場内には不満のため息と、納得の空気が入り交じった。たとえ塁が詰まっていたとしても、浅野は勝負を避けられて当然の打撃を見せていたからだ。

佐久長聖は前の打者を打撃妨害で出塁させており、守備陣の動揺を収めるためにマウンドに伝令を送っただけだった。

結局、浅野は左肩付近に死球を受け、出塁した。

その後、押し出し四球、渡辺升翔内野手(3年)の二塁打、本田倫太郎内野手(3年)の3ランで、この回一挙7得点を奪って勝負を決めた。

今年のセンバツでは審判団がジャッジミスを認め、球審が場内アナウンスで謝罪する珍しいシーンがあった。

1回戦の敦賀気比(福井)-広陵(広島)。4回、広陵のバントに球審はフェアの判定を出していたが、二塁塁審がファウルと勘違いして一塁走者の進塁を止めた。走者は挟殺でアウトになったが、審判団で協議し、通常なら犠打が成功していたと判断し、1死二塁でプレーを再開させた。「私たちの間違い。大変申し訳ありません」という素直な謝罪と、適切な処置が称賛を浴びた。