下関国際(山口)が、優勝候補大本命の大阪桐蔭(大阪)に逆転勝ちで同校初の4強進出を果たした。

1点を追う9回表、1死二、三塁で4番の賀谷勇斗(3年)がしぶとく中前へ、逆転の2点適時打を放った。「追い込まれたらバットを短く、スイングも小さくを徹底した。苦しい時を全員で乗り越えてきた。それが試合に出たと思う」と誇らしげに言った。

大きく流れを変えたのが7回裏、守りのビッグプレーだった。6回途中から2番手で遊撃手の仲井慎(3年)が登板。この回、安打と仲井の犠打エラーで無死一、二塁のピンチを背負った。続く打者もバント。小飛球の打球をキャッチした仲井は素早く二塁へ送球、一塁にも転送してトリプルプレーでピンチを脱した。

夏の甲子園での三重殺は13年の愛工大名電(愛知)が聖光学院(福島)戦で成功して以来、9年ぶり9度目。仲井は「(三重殺は)練習の中で投内連係をやってきた。それがうまく出せたと思います。流れがこっちに来た」。坂原秀尚監督(45)は「送らせて1死二、三塁は考えてなかった。野選でも三塁で仕留めにいく練習をしてきた。流れを変えるプレーになった。三重殺は監督をやっていて初めてです」と興奮を隠さなかった。

山口県勢の4強は05年の宇部商以来、17年ぶりとなる。準決勝の相手は近江(滋賀)に決まった。仲井は「(近江はエースの)山田くんを軸にあまり点は入らないと思うが、粘り強くいきたい。自分たちはまだまだ。切り替えて次の試合に挑みたい」。王者を倒しても喜びは控えめに、次なる戦いを見据えた。