青森大会では弘前東が青森商を7回コールド。8番埓見颯汰内野手(2年)が同点適時打を含む3安打2打点と活躍。弘前東は、秋季東北大会(10月10日開幕、山形)の切符を手にした。

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今夏、埓見はグラウンドに立つことができなかった。夏の青森大会1カ月前。練習試合でスライディングした際に、左膝靱帯(じんたい)を損傷した。完治までに約3カ月。夏のベンチ入りは確実だったが、チームの裏方に回り、リハビリに励む日々を過ごした。「正直、悔しさもあった」。そう、言葉を漏らした。

戦列復帰は、新チームが始動してからだ。秋の地区大会から背番号3をつけるも、結果が出ずに思い悩んだ。「全く打てなかった」。打席でも迷いが生じる。「自信を持てず、考え過ぎた」。そんな時、コーチからの助言に救われた。「打ててなくても、迷いなくいけ!」。このゲキに応えるかのように、今大会では大当たり。初戦から4試合連続安打を放ち、15打数6安打の打率4割をマーク。「来た球を打つことだけに集中できている」と、気持ちが吹っ切れた。

3年ぶりの東北大会出場が懸かった一戦でも、迷いはなかった。3-4の初回2死一、三塁。初球真ん中直球を捉え、同点適時打でチームに流れを呼び込んだ。続く2回には左前適時打。5回には3安打目となる中前打で出塁。8番打者がバットで存在感を示した。「上位打線につなげる気持ちだった。芯で捉えることができた」と納得の表情を浮かべた。

「秋の青森頂点」だけを見据える。「優勝して東北大会に臨みたい」。決勝は昨秋王者の青森山田と激突する。夏の分も、埓見が秋に思いをぶつける。【佐藤究】