<高校野球群馬大会:前橋商8-0新田暁>◇5日◇2回戦

 2年連続を狙う前橋商が新田暁に8-0の7回コールド勝ちで初戦を突破した。通算50本塁打の主砲で、元全日本男子バレーボール監督の大古誠司氏(60)と遠縁に当たる大古拓郎内野手(3年)がコールド勝ちを引き寄せる貴重な安打を放った。7回から登板した最速143キロ右腕、エース加藤誉啓(たかひろ=3年)が3者連続空振り三振で締めた。

 勝負を一気に決めるきっかけは、4番で主将大古のバットだった。6-0とリードした7回2死一塁。左腕土屋の直球を思い切りたたくと、鋭い打球は左翼線に転がった。着実につないでチャンスを広げると、5番須田大志(3年)の左翼線二塁打で2人が生還。欲しかったダメ押し点をようやく奪い、試合を決めた。

 コールドにつなげる一打にも「勝つには勝ったが、力んでしまいました」と笑顔はなかった。1回1死二、三塁という絶好の先制機では、緩い球にタイミングが合わず捕邪飛。2打席凡退後の4打席目で快音が聞かれたが、「序盤のチャンスに打てなかった。あそこで1本出てこそ、本当の4番です」と表情は険しかった。

 ミュンヘン五輪にも出場した元全日本男子バレーボール監督の大古誠司氏は遠縁にあたる。会ったことはないが、「自分の頑張りが(大古氏に)伝われば」と話す。185センチ、90キロと、アスリートの遺伝子を引き継いだ。日米スカウトも注目する素材でもある。観戦したマリナーズ山本スカウトも「馬力がある。将来が楽しみです」と評価する。

 昨夏、甲子園の土を踏んだ。ただ1人の2年生。そして4番。2試合で安打はゼロと「連れてきてもらった先輩のためにも打ちたかった」と自問自答の日々が続いた。結果を求め冬場は1メートル以上もある木製バットでティー打撃を続け、パワーアップを図った。主将としてチームをまとめる重圧もあるが、すべては雪辱を果たすため。「自分がチームを引っ張っていきたい」と強い決意だ。昨年に続きノーシードから2年連続の夢舞台へ、まずは第1歩を踏み出した。【横山元保】