<高校野球・春季東北大会:光星学院6-0一関学院>◇6日◇2回戦◇福島市・信夫ケ丘球場

 光星学院(青森)のエース下沖勇樹(3年)が、一関学院(岩手)を4安打10奪三振で完封。センバツ初戦敗退の悔しさを晴らすかのような力投もあり6-0で勝ち、ベスト8進出を決めた。

 昨秋の東北大会決勝の再現となった2回戦屈指の好カードで、下沖が快投を演じた。伸びのあるストレート、切れ味鋭いスライダーに時折、スローカーブを交え、10三振のほかは内野ゴロの山を築かせた。打っては4打数4安打に1盗塁のおまけ付き。昨秋優勝、センバツ出場の大黒柱が会心のスタートを切った。

 「スライダーが切れていたし今日は良かった」と表情も明るい。センバツで初戦敗退してから、表情の晴れない日々が続いた。勝ち進んでも「内容が悪い」と金沢成奉監督(42)にナインが怒られることが多かった。主将も務める下沖は、チームの意気が上がらないことに気をもむ毎日だった。

 完投勝利は昨秋東北大会の準決勝、花巻東戦以来。県大会は初戦の五所川原戦で6回1死から救援登板しただけ。金沢監督が「下沖抜きでどれだけ戦えるか」を試した。満を持しての、この日の投球。「監督さんと一体となり、ベンチのムードも今日は最高」と下沖は声を弾ませた。

 センバツの借りを返す夏の甲子園に向け、ステップとなる東北大会。下沖は「全試合、自分が投げるつもり」と力強い。エースの快投とともに、光星学院の強さが戻ってきた。【北村宏平】