日米注目の左腕、花巻東(岩手)の菊池雄星投手(3年)が異例の「不在会談」で決断を下す。5日、プロ志望届を岩手県高野連に佐々木洋監督(34)を通じて提出。花巻市内の同校で会見し、今月29日のドラフト前までに熟考することを明言。来週明けから始まるプロ側との会談には同席せず、佐々木監督から各球団の「ラブコール」を聞いた上で、日米の選択をすることになる。

 菊池が日米約20球団のプロとの会談に同席せずに、決断を下す。テレビカメラ11台、約60人の報道陣の前で「(日米は)まったく決まってないので、コメントできる状態ではありません。でもたくさんの方に迷惑がかかるので、ドラフトの前までに、なるべく早い段階で決断したい」と悩める気持ちを明かした。

 プロ側との接触は6日から解禁となる。しかし授業などの関係で同席しない。「親と話し合って監督にすべてお任せすることになりました。日程によって(自分が)聞けないところがあると不公平ですし」と理由を明かした。各球団の育成方針や環境などをすべて監督を通して聞くことになる。メジャーついては「マイナーの仕組みを知りたいです。マイナーだとアルバイトもしないといけないみたいですし」とも言った。

 ドラフトで目玉となった中田(日本ハム)松坂(現レッドソックス)福留(現カブス)らも高校時代は、スカウトのあいさつを受けており、話を聞かずに判断するのは異例といっていい。

 今後は佐々木監督に一任する。22日には全球団のあいさつが終了予定。進路表明は早くても23日以降になる。周囲の関係者が希望する国内を基本路線に話を聞くことになるが、仮にメジャーを志望してもドラフトで国内球団から指名を受ける可能性は高い。「今後のことは気にせず、自分の価値観で決めたいと思います」と菊池。自ら悔いの残らない道を選ぶ。【由本裕貴】