<練習試合:伊保内3-2仙台商>◇31日◇仙台商グラウンド

 プロ注目の最速147キロ右腕、伊保内(岩手)の風張(かざはり)蓮(3年)が3月8日の練習試合解禁後、初めてのゲームに臨んだ。仙台商と対戦し、3-2で勝利。風張は、6回6安打9三振で2失点だった。直球とカーブを武器とする本格派に、練習試合にもかかわらずプロ10球団のスカウトが駆けつけ、熱い視線を送った。

 力をほどよく抜きながら、キレのある球を次々と投げ込む。バックネット裏に陣取るプロ10球団のスカウトにも緊張した様子はない。約5カ月ぶりの実戦ということもあり「5、6割の力で投げました」と風張。それでも、この日の最速は138キロを記録。ひと冬を越え体重も4キロ増え、さらに成長を遂げていた。

 セ・リーグ全球団、日本ハム、楽天、ソフトバンク、ロッテと10球団のスカウトが集結。「カーブのキレが良い」「全力ではないのに、あれだけ投げられるのはいい」「伸びしろが大きい」などと次々に高評価の声が上がった。練習試合にもかかわらず、朝8時30分ごろにはグラウンドに到着し、風張のウオームアップからチェックしていた。

 「最初ということもあり、打たせて取ることができたんで良かったと思います」と丁寧な口調で自身を分析した風張。伊保内がある九戸村は、まだ雪が残り、この日までグラウンドで野球ができたのは、わずか2日だけ。投げ込みも「そこまでしてません」と話すようにビニールハウス内で週2日、投げる程度だったという。

 風張は部員12人と少人数のため降板した7回以降、自ら一塁コーチを務め、ひときわ大きな声でチームを盛り上げた。スカウトの数も意識せず「しっかりと頑張って最終的にはプロに行きたい」と冷静に話す。県内の強豪7校から誘いを受けたが、地元・伊保内を選んだ。「目標は甲子園で全国制覇ですから」と愛する地元のため、絶対的エースは投げ続ける。【三須一紀】