第83回選抜高校野球大会(23日開幕、甲子園)の開催可否を決める臨時運営委員会が18日、大阪市内で行われ、大会を予定通り行うことを正式に決定した。11日に起きた東日本大震災による大規模な被災に加え、東京電力福島第1原発が予断を許さない状況だが、主催者は「がんばろう!

 日本」をスローガンに開催を決断。開会式での入場行進取りやめなど、簡素な大会運営を図る。また原発の状況次第で、今後の大会中止も検討される。

 「がんばろう!

 日本」をスローガンに、球児の春が幕を開けることになった。大会を主催する日本高野連、毎日新聞社は臨時運営委員会で協議の末、最後は全会一致で開催を決定。委員からは賛否の意見が飛び交ったというが、最終的にはセンバツ史上初の中止は回避され、23日から12日間の大会が始まる。

 東日本大震災や東京電力福島第1原発の事故などで予断を許さない緊張状態が続く中、選抜大会の歴史が決断材料になった。1924年(大13)の第1回は、前年に起きた関東大震災からの復興を祈念して行われた。95年の阪神・淡路大震災では甲子園が被災しながらも、被災地の理解を得る努力を続けて「がんばろう!

 神戸」を旗印に開催にこぎつけた。過去を踏まえ、朝比奈豊大会会長(63=毎日新聞社社長)は「野球で被災地を励ますということが言える震災ではないことは承知しています。ただ高校生がひたむきなプレーを続けることで連帯を表すことができると判断しました」と説明した。

 抽選会が行われた15日、深刻な被害にあった宮城代表の東北が出場の意思を固めた。それも追い風になった。ただ被災地の状況は、刻一刻と変わる。日本高野連の奥島孝康会長(71)は「放射能の汚染などが与える影響次第で、大会前日の中止、大会途中の中止もありえます」と語った。

 例年に比べて内容は簡素化されることになった。開会式の入場行進を取りやめ、時間の短縮を図る。当初午前10時20分開始予定だった開幕カードは、同10時に、第2、第3試合も20分繰り上げとなる。2日目以降の第1試合開始時刻も、繰り上げが検討される。試合間のインターバルを短縮し、ナイターを極力避ける。さらに入場料収入の一部を義援金として被災地に送る。

 今日19日の東北の大阪入りで、全出場校がようやくそろう。【堀まどか】