<高校野球春季北海道大会:北海道栄1-0駒大苫小牧>◇12日◇室蘭地区3回戦◇苫小牧緑ケ丘

 北海道栄が延長13回サヨナラで駒大苫小牧との強豪対決を制し、4季連続地区代表に王手を懸けた。左腕エース若林篤志(3年)が被安打7の17奪三振、187球で完封。決勝点は敵失で出塁した若林が暴投で生還し、無安打でもぎ取った。

 主将も務める北海道栄・若林の1点に執着する思いが、わずかに駒大苫小牧を上回った。0-0の延長13回裏、先頭で打席に入り、放った打球は左前へ。捕球したかに見えた球が前にこぼれたのを確認すると、ヘッドスライディングで二塁を陥れた。駒大苫小牧は先発・野田から近藤にスイッチ。二ゴロで三進し、2死となったが、最後はサヨナラ暴投で2時間45分の戦いに決着がついた。

 「夏も秋も1点差の悔しい負け方をして、冬場のつらい練習の時はそれを思い出していた」。打者51人に187球で17奪三振、被安打7の5四死球。177センチの左腕から繰り出す直球、カーブがさえた。1回は2死一、三塁、2回は2死満塁を切り抜けた。7回は無死一、二塁で3者連続三振。局面でも落ち着き、打ち気をそらしてボール球を振らせた。延長に突入し、気持ちも高まった。「腕が飛んでいくかと思った。(投手は)ヘッドスライディングも本当はダメですよね」と笑った。

 昨夏は南北海道大会準々決勝で、札幌日大に延長12回2-3で敗れた。秋は同じく準々決勝で、優勝した北海に1-2と競り負けた。北海戦では2安打無四死球、チームも無失策だったが、12残塁と好機を生かせなかった。2試合とも若林は最後のマウンドにいた。

 泥臭くても、打てなくても1点を取る-。これが、今年のチームの目標になった。この日も必死で食らいつき、無安打で決勝点を奪った。渡辺伸一監督(39)は「バッテリーがよく踏ん張った。最後は天も運も味方した」と振り返った。初戦の2回戦は、伊達緑丘を相手に三沢祐輔投手(2年)が5回1安打0封。無失点で4季連続道大会にあと1勝と迫った。【中尾猛】