<高校野球春季北海道大会:函館大有斗7-0函館稜北>◇25日◇函館地区代表決定戦◇函館オーシャン

 函館地区で函館大有斗が7回コールドで函館稜北を下し、3年連続30度目の全道出場を決めた。先発の堤口竣太投手(3年)が6回2安打無失点と好投した。今大会は4試合で31回を投げ自責点1、防御率0・29の安定感を誇る。「今回は制球面でほとんど乱れることはなかった」と納得の表情で振り返った。

 冷静さを保った。互いに無得点で迎えた3回裏1死三塁のピンチ。2番打者を打ち取り、続く3番田丸には3ボール。そこから2球連続でストライクを決め、最後は空振り三振に仕留めた。「去年は走者を背負ってから点数を取られた。そういうときこそ冷静さを心掛けた」。片口伸之監督(31)も「ゼロに抑えているので悪い投球ではない」と及第点を与えた。

 2年生エースとして挑んだ昨夏は、南北海道大会決勝で北照に3-4で惜敗。優勝候補として臨んだ秋の全道でも初戦で北照に3-13の7回コールド負け。初回に3失点した堤口は我を失った。「去年まではムキになって自分本位の投球だった」と反省を口にする。

 冬のトレーニングはフォーム固めを徹底。練習試合では、ストライク先行、相手打者の構え方や味方の守備位置の確認など、周囲を見渡すようにして冷静さを保つ努力を続けた。「投げ方を乱して秋は負けた。ピンチでも冷静に投げられるよう体に覚え込ませた」と手応えをつかんだ。

 全道は、30日の開幕試合でまたも北照と対戦する。これで4季連続の対戦となり、2連敗中の因縁の相手だ。悔し涙を流した昨夏のビデオはまだ1度も見ていない。「過ぎたことは仕方ない。今年は最後の年。チーム一丸となって戦いたい」。精神的にも成長した左腕が、全道でも大暴れする。【石井克】