<高校野球静岡大会:常葉学園菊川3-2静清>◇25日◇準々決勝

 187センチの長身が天を仰ぎ、体を折り曲げて泣いた。優勝候補筆頭の静清・野村亮介投手(3年)が、9回裏1死満塁から常葉学園菊川・海野のサヨナラ左前打を浴びた。134球目。三振か併殺を狙い、力でねじ伏せにかかった直球が甘くなった。絞り出すような小声でも「最後はコントロールミスです」と敗因を口にした。

 コーチ時代から見守ってきた光岡孝監督(33)が「今までで一番の投球でした」とたたえる内容だった。強豪・日大三(西東京)を3失点に抑えたセンバツで自信をつかんだのが直球だった。一方で本来の持ち味だった変化球と制球に課題を残すようになったが、常葉菊川の強力打線と対するうちに直球、変化球ともに低めで切れた。自分の成長が実感できたマウンドだけに悔いが残る。「甲子園行きたかったですけど…」。この日も4球団のプロスカウトが視察した逸材だ。進路については「家族、学校と相談したい」と話した。【久我悟】