<高校野球IBAF18U世界選手権:日本0-3コロンビア>◇5日◇予選第2ラウンド◇韓国・木洞

 高校日本代表が崖っぷちに追い込まれた。予選第2ラウンド初戦でコロンビアに0-3で完封負け。台湾戦で好投した藤浪晋太郎投手(3年=大阪桐蔭)が先発したが、5回6安打3失点でKOされた。今日6日の韓国戦に敗れれば、8日の1位・2位決定戦に進出できないため、目標の初優勝が消滅する。韓国監督の「違反バット発言」報道で、にわかに因縁めいた最大の強敵相手に正念場を迎えた。

 まさかの敗戦に、藤浪の目はうつろだった。曲がりの早いスライダーを合わされ、鋭い打球が野手の間を抜けていく。「外国の打者は大きく振ってくる印象でしたが、コロンビアはシャープだった。負けてはいけない試合で負けた。悔しいです」。際どい球はファウルで粘られ、5回で100球。6安打3失点でKOされた。公式戦では昨秋の近畿大会準々決勝以来、307日ぶりの黒星がついた。

 日本はB組1位通過。コロンビアはA組3位通過。勝って当然と思えるが、20人中15人がメジャーに入団合意した金の卵軍団を、小倉全由監督(55)は警戒した。だからこその必勝采配。「藤浪君なら絶対大丈夫とみんな思っていた。だから失点したとき、焦っちゃったのかも」。雨天順延による日程変更で、この日の試合予定が出たのは前夜の午後10時。相手が決まったのは開始の約1時間前だった。コロンビアの研究は、朝30分間映像を見ただけ。ドタバタ劇も響いた。

 正念場だ。1位・2位決定戦に進出するには、韓国、アメリカ戦の連勝が必須。今日韓国に敗れれば、初優勝は即消滅してしまう。前日には、韓国のイ監督が「日本は(禁止されている)圧縮バットを使用している」と発言したと報道されるなど、場外戦でも注目が高まった。小倉監督は「不正はしてないし、何を言われても動揺はない」と一蹴。平常心でぶつかる。

 崖っぷちで、同監督は「明日も投げてもらうかもしれない。いけるならいってもらう」と藤浪の連投を示唆。藤浪も「明日先発でももちろん大丈夫」と切り替えた。160キロ右腕の大谷も控えている。韓国には152キロ右腕のユン・ヒョンベがいるが、投手力なら負けていない。世界一の夢を、こんなところで終わらせるわけにはいかない。【鎌田良美】