第85回選抜高校野球大会(22日開幕、甲子園)に出場する、沖縄遠征中の盛岡大付(岩手)は9日、真栄原(沖縄)に4-2で勝利。エース格の松本裕樹投手(1年)が5安打で完投した。

 キャッチボールのように、軽やかに右腕を振った。松本が今年初先発。左足を上げた後の間を長く取る新フォームで、力みなく9回を投げた。「変化球の精度を上げたい」と笑顔はなかったが、四死球は1つだけ。持ち味の制球力は健在で、相手打線を102球で打たせて取った。

 打力という長所を殺さないために、弱点の克服に取り組んできた。昨秋は守りの乱れが失点につながったため、冬場は守りの向上にも着手。今月2日に沖縄に入った後は、守備面の確認を中心に行った。関口清治監督(35)は「最初はひどかったが、脚力はついてきている感じはした」。雪上でのカバーリング練習の成果を感じ取っていた。

 同じ轍(てつ)は踏まない。10年のセンバツ時は、対外試合解禁から甲子園初戦まで6試合しかできなかった。「監督として初のセンバツでそれしか組めなかった。打者も投手も試合感覚が鈍っていた」。今回は、大阪入り後も含めて14試合を消化し、眠っている勝負勘を呼び起こしていく。

 昨年は、バントをほとんどしない超攻撃的スタイルを貫いた。しかし、新チームは「走れる選手を2、3人入れている。違った感じの野球ができれば」。連戦の中で選手間の競争を促しながら、新たな形を築き上げていく。【今井恵太】