<高校野球春季北海道大会:函館ラサール4-2函館大谷>◇18日◇函館地区代表決定戦◇函館オーシャン

 函館地区で函館ラサールが4-2で函館大谷を下し、26年ぶり2度目の春全道切符を手に入れた。左腕エース清水洋二郎(3年)が初回こそ失策絡みで2失点したが、2回以降は奪三振よりも勝利重視の打たせて取る頭脳的ピッチングを展開。函館大谷に追加点を許さず、打線も終盤の8回に3点を奪い逆転した。

 2点リードの9回表2死一塁、函館ラサールナインがマウンド付近でエースの清水を囲んだ。26年ぶりの悲願達成まであと1人、全員が笑顔で「相手の立場を考えればこっちが断然有利。楽しもう」とリラックスした。函館大谷の最後の打者を三ゴロに打ち取ると、清水は「ゲームの流れを相手に渡さないため」に今年からあえて派手にするようにしている派手なガッツポーズを連発。喜びを爆発させた。

 三振は狙わず、打たせて取る投球を意識した。2回戦で函館大有斗から毎回の13三振を奪い完封。3回戦の八雲戦でも5回7三振を奪っている。ましてや函館大谷は昨春20三振を奪った相手。だが、「最近は守備で助けてもらっている。バックを信頼できるようになったから、打たせて取るピッチングでいい。その勝ち方の方がうれしいから」。初回、失策絡みで2点を先制されても、味方を信じて投げた。5奪三振、7安打を浴びたが追加点は許さなかった。

 武田将知監督(25)は「ずっとチームを引っぱってきた清水を、選手たちが助けた。勝ったこともうれしいけど、チームの成長を感じられたことが何よりうれしい」と目尻を下げた。8回裏に、2-2と同点の2死満塁から決勝の中前適時打を放った7番・杉江俊尚二塁手(2年)は「清水さんを助けられて、とにかくうれしかった」と興奮気味に話した。

 道内屈指の進学校は、文武両道が当たり前。練習中も武田監督の口癖は「ラサールなんだから頭を使え」。田辺凌祐主将(3年)は「練習時間が限られている。同じことは2度と言われないように心掛けている。時間の無駄だから」。北大、慶大、医学部などへの進学を志望している秀才軍団は勉強もおろそかにしない。「野球を絶対に言い訳にしない。時間を見つけてコツコツやって、受験も現役合格を目指します」ときっぱりだ。

 全道の大舞台に初めて挑む。仲間への厚い信頼を武器に「どれだけ通用するのか楽しみ」と、清水は札幌円山のマウンドに思いをはせた。【保坂果那】

 ◆函館ラサールと全道

 3季通じては1964年(昭39)秋が初出場。函館地区代表決定戦では函館有斗を1-0で下した。全道では2回戦で準優勝した北海と対戦し4-5で惜敗。春は87年に初出場し、1回戦で帯広北に0-1で敗れた。