<高校野球南北海道大会:知内11-1福島商>◇22日◇函館地区1回戦◇函館オーシャン

 南北海道の知内(しりうち)が、夏の勝利一番乗りを果たした。開幕試合で福島商を5回コールドで下した時、函館オーシャン球場の時計は午前11時46分を指していた。沖縄大会開幕カードで豊見城が勝利したのは午後0時26分。40分早い全国最速勝利に内海裕一監督(43)は「今日はいっぱい(報道陣が)来てるなーと思った。(日本最速は)あまり気にしないつもりだったけど…」と言いつつ、うれしそうな様子だった。

 今月11日の抽選会で、同監督は小辻裕康主将(3年)に「できれば開幕戦を引いてこい」と声をかけた。狙い通りの開幕カードで、75分間のスピーディー勝利に貢献したのが、1年生の越中谷(えっちゅうや)澪次投手だ。今大会で初のベンチ入り。4回から2番手で登板すると2回を無安打無四球2奪三振に抑え、試合展開を早めた。越中谷は「(試合時間が)2時間を切れるようには意識していました」と笑顔を見せた。

 93年に町立校としては史上初のセンバツ出場を果たし、全国的にも脚光を浴びた。その後は甲子園から遠ざかり、ここまで3季連続で地区初戦敗退が続いていた。前日21日、町内にある雷公(らいこう)神社へチーム全員で足を運び、おはらいをしてもらった。12安打11得点で4季ぶりの初戦突破を果たし、主将の小辻は「御利益がありました。日本で一番速いという良い形でスタートできた。もちろん日本一も目指します」。知内ナインは20年ぶりの甲子園出場も視野に入れている。【保坂果那】

 ◆知内(しりうち)

 道南、津軽海峡に面した知内町にある公立(町立)校。学校創立は1952年(昭27)、生徒数158人(うち女子72人)。野球部は83年創部。部員数は34人、マネジャー2人。所在地は北海道上磯郡知内町重内984。広田定憲校長。

 ◆知内の93年センバツVTR

 町立校として史上初めて甲子園に出場し、開会式直後の開幕試合で3-6と浜松商(静岡)に敗れた。4回までに6失策5失点と守備が乱れたが、5回から反撃。浜松商を上回る10安打を放ちながら、12残塁の惜敗だった。知内町出身の歌手北島三郎から贈られたユニホームでプレーし、三塁側アルプス席には同校生徒40人など、約300人が地元から駆けつけた。