<高校野球茨城大会:常総学院6-1那珂>◇13日◇2回戦◇水戸市民球場

 常総学院(茨城)の内田靖人捕手(3年)は1回に先制2ラン、3回にソロの1試合2発で高校通算本塁打を31に伸ばし、チームを初戦突破へ導いた。

 低めのカーブをすくい上げると、打球はぐんぐん伸びて、左翼席を軽々と越えた。3回無死、1ストライク。内田が放った会心の当たりは、推定110メートル、公式戦自身初の2打席連続弾だった。本塁打も、公式戦では昨夏の県大会決勝の水城戦以来、実に1年ぶり。「2本目は狙った。うまくバットに乗せられました」と手応えを感じていた。

 初回の第1打席では、2死三塁から先制2ラン。芯を外れたが、93メートルの左翼ポール際へ力で運んだ。この日視察に訪れたオリックス牧田スカウトは「肘から先の力が強い。遠くに飛ばす力はさすが」。スタンドで見守った木内幸男前監督(82)も「2本目は甲子園球場でもスタンドインだね。素質はここ5、6年で1番の選手」と太鼓判を押した。

 昨年の七夕、野球部寮のササの葉に「通算30本」と目標を掲げた。当時はまだ4本。「これくらいならいけると思う」と、主軸を担う覚悟を数字で示した。昨秋の関東大会以降にはフォーム改造に着手。左足を大きく上げてタイミングを取っていたのを、ノーステップに変えて動きを小さくし、確実性を模索した。だが「こっちの方が飛距離が出る。なじみもあるので」と春の関東大会後に、足を上げるフォームに戻した。この日1本目の本塁打は、高校通算30本目。目標を達成した内田は「35本に変えます」とさらなる飛躍を誓った。

 この日は福島・いわき市の中学選抜でチームメートだった聖光学院(福島)の園部聡内野手(3年)も通算56本目を放ち「負けていられません」とライバル心を燃やした。当時は内田が4番、園部が5番打者だったが、現在は本塁打数で後れを取っている。「追いつくのは厳しいですね」と苦笑したが、目標を変えれば変えるほど、チームの目標である「全国制覇」は近づいてくる。「予選は圧倒的に勝ちたい」と言い続けてきた主砲が、言葉通りの活躍でチームをけん引する。【桑原亮】

 ◆内田靖人(うちだ・やすひと)1995年(平7)5月30日、福島・いわき市生まれ。小学2年から野球を始め、中学ではいわき松風クラブで全国8強。昨秋までは内野手だったが今春センバツ前に捕手に転向。憧れの選手は元ソフトバンク小久保裕紀氏。好きはアーティストは「GReeeeN」。185センチ、89キロ。右投げ右打ち。家族は母と姉。