<高校野球大阪大会:履正社7-0高槻北>◇15日◇2回戦◇万博

 春の近畿王者が貫禄発進だ。履正社が高槻北に7回コールド勝ち。エース東野龍二(3年)が7回14奪三振で公立の星を圧倒。優勝候補の力を見せつけた。

 高校最後の夏にもらった背番号1に恥じない好投だ。7回で自己最多の14奪三振。21個のアウトの3分の2を三振で取った。初回は3者連続三振。2回も先頭打者を三振。4者連続三振と好スタートを切り、コールド勝ちに導いた。東野は「自分でもわからない、偶然です」と笑い、岡田龍生監督(52)は「本当は打たせて取るタイプの投手なんですけどね」と驚いた。敵も味方も仰天させたエースの投球だった。

 今年春の大阪府予選、近畿大会の優勝が大きな自信になった。「気持ちの部分で、より落ち着いて投げられるようになりました」と成長を感じていた。一方で「ただただ悔しかった」と話した苦い思い出がある。2年夏にエース番号を付けたが、同秋と今年の選抜大会は背番号10。阪本大樹(3年)東範幸(同)らチーム内にライバルがひしめいていた。

 それでも甲子園の初戦、1回戦・岩国商(山口)戦は先発を任された。意気に感じ、奮い立った。だが自身の暴投から0-1で敗退。その悔しさを胸にもう1度甲子園の舞台に立つことを夢見て、臨んだ夏初戦。「センバツの失敗から何としても1点でも取られない投手になりたいと思っていた」と明かした。

 制球力も磨き上げた。選抜大会後、ブルペンで同じコースに10球を投げる練習を続けた。カーブも練習中で、この日は1球投げた。6回先頭打者に放ったが、捕手の頭上を越える抜け球となった。「勝ち上がっていくと相手打者に狙い球を絞られる。何か新しい球種を投げられるようにしよう」と取得中。投球レベルを上げるため努力を続けるが、成長の軌跡を夏の初戦で記した。【辻敦子】

 ◆東野龍二(ひがしの・りゅうじ)1995年(平7)8月6日、東大阪市生まれ。藤戸小2年から軟式野球チーム「長田スポーツクラブ」で野球を始め、投手。新喜多中では「東大阪シニア」に所属。履正社では1年秋に背番号11でベンチ入り。2年夏は1。最速140キロ。変化球はカーブ、スライダー、フォーク、チェンジアップ。好きな投手は中日山本昌。遠投90メートル。50メートル7秒2。175センチ、80キロ。左投げ左打ち。