<練習試合:高校日本代表3-1関学大>◇27日◇関学大グラウンド

 JAPANの1番打者で世界一だ!

 18歳以下のワールドカップ(30日~9月8日・台湾)に出場する高校日本代表は関学大と練習試合を行った。北照の吉田雄人中堅手(3年)は、5打数3安打した26日に続いて1番中堅で先発フル出場。4打数1安打ながら3度出塁し、3-1の勝利に貢献した。チームはこの日で国内合宿を打ち上げ、今日28日に台湾へ出発する。

 JAPANの切り込み隊長が存在感を見せた。吉田は初回は相手投手に11球を投げさせて四球。3回に右前安打を放ち、続く第3打席は相手失策で出塁した。前日の関大戦で3安打し、この日もチームに流れを呼ぶ3出塁。「自分が塁に出て得点を重ねられるよう頑張りたい」。国内での前哨戦を終えた吉田が力を込めた。

 出塁する理由がある。「上(プロ)でプレーするには、JAPANでアピールするしかない」(吉田)。今夏の甲子園は1回戦負け。自身2安打もアピールとしては不十分だった。帰道翌日から新チームの練習に交じって木製バットを振り、代表選出に備えた。「練習で目立っていた。しぶとさもある」と高校日本代表の西谷浩一監督(43)。控えでは意味がない。本番での出場を期し、万全に仕上げた。

 1歳の誕生日。父次寿さん(50)は吉田の枕元にバットとボールを置いた。耳にハンディを持つ父は高校で大好きな野球が思うようにできなかった。「息子にはどうしても野球をさせたかった」(次寿さん)。小学1年で地元、森町の野球少年団に加入させると、運動会で負けなしの俊足を生かすため、右打ちを左に変えた。

 小学校から帰ると毎日、午後5時から父とのトレーニングが始まった。約4キロのランニング、シャドーピッチング、素振り300本-。試合に負けた日は、量が倍に増えた。「今でも父の声を聞くと体が震えます」と吉田。次寿さんは、漫画『巨人の星』の主人公・星飛雄馬を厳しく鍛える父の名「一徹さん」と周囲に呼ばれた。雄人は「飛雄馬」だった。

 親子の夢は甲子園とプロ入りの2つ。1つ目は3回達成、2つ目の結論が秋に出る。「初めての海外なんですよ。だからちょっと怖いです。トイレに紙がないとか聞くので。野球しに行くので世界一を目指してやります」とおどけた吉田。世界一とその先の夢に向け、台湾に乗り込む。

 ◆IBAF18Uワールドカップ

 IBAF(国際野球連盟)主催の18歳以下の選手による大会で、30日~9月8日まで台湾で開催。参加12カ国・地域がA組(日本、カナダ、チェコ、メキシコ、ベネズエラ、台湾)とB組(オーストラリア、コロンビア、キューバ、イタリア、韓国、米国)に分かれ、30日~9月3日に1次ラウンド(R)を行う。各組上位3チームが2次R(5~7日)に進出し、8日に順位決定戦。今年、「18U世界選手権」から名称変更し、今大会で26度目。日本は5度目の出場で、最高成績は第2回大会と第21回大会の準優勝。日本ハム大谷や阪神藤浪を擁した昨年は6位に終わった。