【台中(台湾)29日=島根純】話し声すらかき消す激しい雨音を、松井の直球が切り裂いた。18歳以下のワールドカップ(30日~9月8日)に出場する高校日本代表が、台中市内の台中球場で開幕前日の公開練習を行った。開幕戦のカナダ戦先発が予想される桐光学園・松井裕樹投手(3年)は捕手を座らせて44球投げ込み、最終調整を行った。

 「パン!」という鋭いミットの音は世界デビューへの号砲だ。「投手として世界でどれだけ通用するか楽しみ」と直球を中心に“伝家の宝刀”スライダーやカーブを力いっぱい投げ込んだ。この日は台風15号の影響で朝から大雨。それでもブルペンで投じた力のこもった直球は、誰よりも大きい音を立てミットに収まった。

 「監督からお前が軸になると話を受けた。初戦の先発にいくとなったら全力でやります」と開幕戦の先発は濃厚だ。松井の世界戦を調査しに日本からはDeNA高田GM、ソフトバンク永山スカウト部長も台湾入り。熱い視線を注ぐ。

 初の海外で「食事がちょっと…」と香りの強い食事には苦戦しているが、体調は万全だ。「世界一へ大事な初戦。勝ちにつながる投球をする」。松井がいよいよ世界のドクターKになる。