【台中(台湾)30日=島根純】いきなり国際大会の“洗礼”を浴びた。18歳以下のワールドカップ(30日~9月8日)が開幕したが、雨天のため、日本はA組1次ラウンド初戦のカナダ戦が中止となった。先発予定だった桐光学園・松井裕樹投手(3年)は今日31日のベネズエラ戦(斗六、日本時間午後7時)にスライド登板することが濃厚だ。この日は同午前10時開始予定だったが、宿舎と球場で待機し、午前8時から午後3時に中止が決定するまで、7時間も待たされた。そのモヤモヤをぶつける。

 待ち続けること実に7時間。松井は午後3時に試合中止が決まると「日本の素晴らしさというか環境の良さを感じました」とちょっぴり疲れた表情で答えた。

 午前8時からユニホーム姿で待機していた。強い雨が朝から降り、10時開始予定の時間は全くの白紙に。日本なら間違いなく中止になる天候だが、その気配がない。宿舎のロビーで午前9時30分まで待ち、1度部屋に戻った。

 その後雨脚が弱まり、「試合を行う」という連絡で球場に移動。軽めのウオーミングアップをするも、再び雨が強くなりベンチでの待機を余儀なくされた。二転三転する状況に「緊張感を持って過ごさないといけなかったので、見えない疲労がある」と、国際大会特有の時間変更に戸惑いを見せた。

 それでも開幕投手としての気持ちは切らさなかった。午前6時45分起床で、多くの選手は朝の集合時にロビーのソファで睡眠を取っていた。そんな中、松井はナオト・インティライミの「Brave」を真剣な表情で聴いていた。歌詞の中にある「僕らならできるって思いながら闘って新しい未来をイメージすればいい」と、自らを奮い立たせた。

 開幕戦の先発は、国内合宿中に西谷監督から伝えられていた。「大事な初戦を任せていただいて、今日に全力で合わせてきた」と意気込みは強かった。それだけに今日31日へのスライド登板に意欲を見せる。「先発は決まっていないけど、もう1回行くつもりです」。現地の天気予報はまたもや雨だが、松井の思いが雨雲を吹き飛ばすはずだ。