春の主役は俺だ!

 第86回選抜高校野球大会(3月21日から12日間、甲子園)の選考委員会が24日、大阪市内で行われ、智弁学園(奈良)が2年ぶりのセンバツ出場を決めた。高校通算56本塁打を誇る岡本和真内野手(2年)がバックスクリーン弾を予告。大会屈指のスラッガーが、甲子園に新たな伝説を刻む。

 強気の言葉が新たな怪物伝説の誕生を予感させた。自身初の甲子園切符が届くと、岡本は目標の数字をはっきりと掲げた。「打率5割、ホームラン1本は打ちたい。バックスクリーンに行きたいですね」。単なるビッグマウスか。いや実績に裏打ちされた自信がある。「コースに逆らわずに打っている。逆方向の方が飛距離が出る」。右打者ながら、積み重ねた56本塁打のうち、半数以上がセンターから右方向だという。

 智弁学園グラウンドは、右翼に約10メートルの防球ネットがある。岡本の打球はそれを越え、校舎3階の最上部に当てた。小坂将商監督(36)は「130メートル以上の距離がなければ3階には当たらない。そんな選手は今まで見たことがない」と驚く。内野だけでなく、抑え投手も務める二刀流だ。最速143キロを記録。183センチ、97キロの体格には、並外れたパワーが秘められている。

 昨年の甲子園を沸かせた済美・安楽の姿は春にはない。横浜のスラッガー・高浜らとともに、新たなスター候補として名前が挙がっている。「(安楽に)先を越されて、うらやましい気持ちはあった。でも、いつか自分もそこにいくと考えていた。チームとして勝てればいいが、勝つ中で相手の4番にヒットの数で上回れたらいい」。打席が回ってくることを考慮され、「3番・三塁」が自らのポジション。右打者で逆方向に長打を量産するといえば、「KK伝説」の清原だ。甲子園からの招待状に、岡本が予告アーチを描けるか。乞うご期待だ。【田口真一郎】

 ◆岡本和真(おかもと・かずま)1996年(平8)6月30日、奈良県五條市出身。3歳から遊びで野球を始める。北宇智小では外野手。「橿原磯城シニア」では全国大会3位に輝く。高校通算56本塁打。右投げ右打ち。183センチ、97キロ。