<センバツ高校野球:龍谷大平安8-1佐野日大>◇1日◇準決勝

 佐野日大(栃木)は龍谷大平安(京都)に敗れ、ドラフト候補左腕、田嶋大樹投手(3年)は、4試合連続完投で力尽きた。

 佐野日大・田嶋にとって決勝のマウンドは遠かった。2回2死二塁。1番徳本に投じた内角低めのスライダーが右翼ポール際へ吸い込まれた。「公式戦でホームランを打たれたのは初めてだと思います。正直、代えてほしいと思いました」。

 疲労はピーク。「左の握力がなくて腕に力が入りませんでした」。最速は139キロ。ベンチで絶えず左手をもみ、回復に努めたが握力は戻らなかった。4回からは「指に引っかけて投げた」と、スリークオーターからサイドスロー気味にフォームを修正。試行錯誤しながら投げ抜いたが打線の援護もなかった。

 初体験だらけの甲子園だった。「力不足が分かりました。最後の夏に向けてまた県大会からしっかり投げたい」。4試合中、2試合が延長戦。計38イニング、560球を投じた左腕は敗戦と引き換えに多くのものを得た。【和田美保】