<高校野球秋季宮城大会:仙台育英6-0東北>◇2日◇2回戦◇石巻市民球場

 仙台育英の右腕エース佐藤世那(せな=2年)が、2試合連続の完封勝利でベスト8入りを決めた。前日1日からの連投にもかかわらず、東北打線をわずか2安打に抑え、チームは宿敵に快勝した。8強が出そろい、今日3日は準々決勝4試合が行われる。

 仙台育英の佐藤世が宿敵を封じ込めた。1回戦(対仙台西)の被安打3が、2に減った。「目標は0に抑えることで、それができたのがよかった」とニッコリ。練習試合も含め経験のない2試合連続の9回完封。強豪がそろう県大会で、18イニング1度もホームを踏ませていない。佐々木順一朗監督(54)も「すごいことですね」とうなった。

 中部地区予選を含めて、昨秋から東北戦に登板している。「フォーク、スライダーを見せている」(佐藤世)と、この日は最速141キロを誇る速球中心に配球を変えた。初回1死三塁をしのぎ、4回1死満塁ではスクイズを併殺にして切り抜けた。「東北とは(登板)4試合目。今まで1点も取られていない。苦手意識はまったくない」と自信を持っていた。

 1回戦は味方打線が8回にようやく1点を奪った。この日は初回に先制し、6回に4点を追加する援護があった。「今日は早く取ってもらった。それだけで十分」。まだフォームが安定しない課題を抱え、100%の力を入れて投げるとボールが抜けることがある。「7、8割の力が一番」と、少し脱力した投球が快投を支えている。

 名前は世那。生まれた97年の前年96年に大ヒットしたTVドラマ「ロングバケーション」で木村拓哉が演じた主人公・瀬名秀俊と、F1レーサー、アイルトン・セナ(故人)に由来するという。「今日と同じで、0に抑えれば負けない」。無失点を継続して、世那の名を宮城から東北大会、来春のセンバツまでとどろかせる。【久野朗】

 ◆佐藤世那(さとう・せな)1997年(平9)6月2日、仙台市生まれ。南光台東小2年の時、南光台東小野球愛好会で野球を始め投手と捕手。秀光中から投手に専念し、全国大会にも出場。仙台育英では1年秋からベンチ入り。この秋から背番号1。180センチ、76キロ。右投げ右打ち。家族は両親と弟。