<全国高校野球選手権:開会式リハーサル>◇7日◇甲子園

 第91回全国高校野球選手権大会が8日、15日間におよぶ熱戦の火ぶたを切る。今秋ドラフトの超目玉、花巻東(岩手)菊池雄星投手(3年)は、深紅の大優勝旗を目指し県大会以降最多となる80球の投球練習を行い調整した。

 菊池が高校最後の甲子園を前に、胸に秘めていた思いを口にした。注目の進路について、報道陣には「未定です」と言葉を濁していたが、体験取材に訪れた少年、少女2人の「記者」にウソはつけなかった。

 少女

 将来の夢は何ですか。

 菊池

 メジャーリーガーです。いつ行けるかは分からないけど、なるべく早く行きたいです。

 これまでも米国に対するあこがれは口にしていた。だが大会前や期間中は将来の話は封印し、野球に集中してきた。菊池にとっては思わぬ形での「宣言」となってしまった。

 この日は開会式リハーサル後に、神戸広陵学園高校で県大会優勝後最多となる80球を投げ込んだ。「間隔が開くとスタミナが不安。(決勝まで)投げ切るために今日だけ多めに投げようと思ってました」と万全だ。メッツ大慈弥スカウトが見守る中、佐々木塁一塁手(3年)を左右両打席に立たせ、2死球と実戦さながらの投球だった。積極的に内角を突き、直球44球、変化球36球。「スライダーの時に、ひじが下がっていた」と課題も見つけた。

 大阪入り後、体重は3キロ増えた。「宿舎の食事がおいしくて。メロンが大好きです」と笑う。リハーサルでは中京大中京・堂林、西条・秋山、智弁和歌山・岡田ら同期生に自分から話し掛けた。「上の世界で戦うかもしれないし、同じチームになるかもしれないので」と声をかけた。

 宿舎に持ち込んだ06年夏の甲子園決勝、早実-駒大苫小牧戦のDVDはすでに3、4回見た。「決勝に行き、みなさんに感動を焼きつけたい」と、夏の主役を譲るつもりはない。