<全国高校野球選手権:都城商4-1智弁和歌山>◇20日◇3回戦

 最後の夏が終わっても、智弁和歌山のエース岡田俊哉(3年)に涙はなかった。「本当は泣きたい。けど2年生で泣き崩れてここを後にした。3年生では泣かないと決めていた」。1年夏から通算4季目の甲子園。プロ注目の左腕は、悔しそうに口を真一文字に結んだ。

 「体調管理に気をつけておけば…」と悔やんだ。1回戦前日に出た38度前後の熱が、ずっと続いていた。2回戦では左手中指の内側にできたマメがつぶれ、瞬間接着剤で固定。スライダーを投げるたびに痛んだ。さらに左足親指にも大きなマメができ、ソックスが血だらけになるほどだった。

 この日、自己最速タイの144キロを記録しても万全には遠かった。1回に3失点。2回以降は持ち直し、3試合連続2ケタとなる12奪三振。12安打を浴びながら最後までマウンドに立ったが、高嶋監督に歴代単独1位となる甲子園59勝目をプレゼントできなかった。

 この試合を前に帽子のつばに「ありがとう」と書き込んだ。岡田は「いろんな人に巡り会えたから今の自分がある」という。家族、仲間、恩師に感謝の気持ちを込めて、全168球を投げ込んだ。「プロに行きたい気持ちは変わっていない」。3年間で得た濃密な経験は、次のステージでも生きるはずだ。【大池和幸】