ロックアウトがキャンプの時期になっても続く可能性が出ている。選手からは、経営陣側に対する不満の声が続出中だ。

ロイヤルズのウィット・メリーフィールド内野手(32)は、6日の地元メディアのインタビューで「僕らは、経営側と再び交渉の席に着く用意ができている。みんなが仕事に戻れるよう、労使協定を締結させたいと思っている」と話し「選手会サイドとしては、できる限りの接触を行ってきたが、しばらく何の音沙汰もない状態。相手が交渉に応じてくるのをを待っている」と不満を口にした。

今オフにFAでメッツに移籍したマックス・シャーザー投手(37)も最近のインタビューで「我々はキャンプに予定通り入るつもりでトレーニングを行っている。もしそれがかなわなければそのときはまた考えるが、今はすべて日程通りにやることしか考えていない」と話し、経営陣側に交渉に応じるよう求めていた。

彼らはいずれも選手会でリーダー的存在。経営側との交渉状況をよく知っている選手だ。早く交渉を進めロックアウトを終わらせたい選手側に対し、経営側が“じらし作戦”なのか話し合いを先延ばしにし、1月に入ってようやく主要課題に関する提案書を提出する準備をしているという。

経営サイドにとっては、話し合いを遅らせることがメリットにつながるのかもしれないが、印象はすこぶる悪い。コミッショナーがロブ・マンフレッド氏になってから、このように時間切れ寸前まで引き延ばす交渉スタイルが常とう手段のようになっている。

そんな状況もあり、今、同コミッショナーへの批判が高まっている。敏腕記者で知られるケン・ローゼンタール氏が自分への批判的記事を書いたという理由でMLB所有のテレビ局のリポーターから外したことが最近大きな物議をかもしたが、ロックアウトに関してもCBSスポーツ電子版などは「マンフレッドの理屈はちぐはぐ」と批判を展開している。

4日付のボストン・グローブ電子版のコミッショナー批判は痛烈だった。「マンフレッドは就任からこの7年、野球界にとって悪影響を及ぼすようなこまごましたことを繰り返し、2つの疑問を投げかけてきた。この人は果たして野球が好きなのだろうか、というのが1つ。そんなに細かいのになぜ透明性がかけらもないのか、というのがもう1つだ」と容赦がなかった。

この他「子供じみた権力の振るい方」「愚か者オブザイヤーだ」など、コミッショナーへの罵詈(ばり)雑言が米メディアに踊っている。この調子でいくと、マンフレッド・コミッショナーが批判的メディアをすべて締め出したりしないだろうか。ローゼンタール記者の件があるだけに、そんな心配をしてしまう。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)