エンゼルス大谷翔平投手(27)が先日、ベンチで何やらもぐもぐしているところが話題になっていた。5月15日の敵地でのアスレチックス戦でのことだ。MLBの選手がベンチやブルペンで何かを食べていることは多い。米メジャープロスポーツでも、プレーしながらもぐもぐする唯一のリーグだ。

MLBのもぐもぐアイテムといえば、ひまわりの種とチューイングガムが長年の定番だったが、ここ数年はそれが変化していた。新型コロナウイルスの感染拡大で唾を吐くことが禁止になったため、ひまわりの種を口に含んでは床や地面に吐き出すという行為ができなくなった。

選手はなぜひまわりの種を食べ、そして殻を吐き出すのか。これまでその様子を見てきた限りでは、口の中の殻を出すというより勢いよく遠くへ飛ばすように吹いて出す選手が多い印象だ。それはなぜなのか。

さまざまな文献や記事を調べてみたところ、ひまわりの種を食べるのは栄養をとる目的というわけではなく、かんで殻を吐き出す行為が選手にとっては精神安定剤のような作用があるらしい。ベンチで次の打席を待つ間、ブルペンで登板を待つ間など、種をかんで吐き出すことを繰り返しながら気持ちを集中させるのだという。

唾吐き禁止となったコロナ禍中は、ひまわりの種に代わってベンチでポップコーンをほおばる選手が多くなった。昨年6月にはカブスのハビエル・バエス内野手(29=現タイガース)が中心になって選手が試合中に30リットルはあろうかという大袋に詰めたポップコーンを食べている様子がテレビカメラにとらえられ話題になった。昨年10月のポストシーズン中には、レイズの選手たちがベンチでみんなそろってポップコーンを食べている様子がとらえられ、やはり話題になっている。

しかし今季は、コロナ禍のさまざまな規制が撤廃され、ひまわりの種もベンチに戻ってきた。タイガースのミゲル・カブレラ内野手(39)がつい先日、種の殻を口から飛ばす様子がテレビカメラにとらえられていた。

ひまわりの種、ガム、ポップコーンといった定番以外にも、MLBではさまざまなお菓子を常備しているチームが多い。クラブハウスのカウンターの一角に何十種類ものスナックやキャンディーをきれいに並べ、まるで駄菓子屋さんの店頭のようになっているチームもある。大谷がもぐもぐタイムに食べていたのも、そんなスナックの1つだったのだろうか。ちなみに何を食べているのか「どら焼きか?」などとネットで話題になり、ファンの方が間もなく「これですね」と探し当てていたのには恐れ入った。それは「ハニー・スティンガー・ワッフル」というエナジースナックであった。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「水次祥子のMLBなう」)