エンゼルス大谷翔平投手(27)が遠征で敵地を訪れると、どこへ行っても注目の的となる。先日のニューヨーク遠征では、ヤンキースとの3連戦中に地元の球団専属テレビ局「YESネットワーク」の中継陣がしきりに大谷の話をしていた。その内容の多くは、大谷がFAになったときのことだった。

2018年にメジャーデビューした大谷もすでに5年目に入り、このままいけば来季終了後にはもうFAとなる。ここまであっという間に時が過ぎ、FAの時期もやはりあっという間にやってくる。特に17年オフの段階で大谷獲得に熱心だったヤンキース関係者にとって、大谷のFAには興味津々だ。

その日の実況席には名物アナウンサーのマイケル・ケイ氏、今季から解説者に就任した通算435本塁打の元外野手カルロス・ベルトラン氏、ベテラン解説者で元サイ・ヤング賞投手のデービッド・コーン氏がそろい、こんな会話が交わされた。

ケイ「先発投手で、本塁打が打てる中軸打者で、スーパースター。しかも1人でそのすべてを実現している。まだ27歳。2023年シーズン後にFAの市場に出てくる。どうなるか想像できる?」

ベルトラン「すごいよね。打者として試合に出る準備を毎日しながら先発投手もやるなんて」

コーン「相当なモチベーションを持たないとできない。彼は投打どちらもやりたいという強い意思があり、それがモチベーションになっている。二刀流で起用しうまく回しているマドン監督もすごい」

ケイ「彼がエンゼルスと契約したときは驚いたね。誰もがヤンキースが獲得すると思っていたから」

ベルトラン「獲得まであとわずかまでいっていた?」

ケイ「そう思うね」

といった内容だったのだが、獲得できなかった悔しさと次の獲得機会には今度こそという思いが伝わってきて面白かった。

球団の幹部の方に以前、話を聞いたときに「大谷がもしMVPに輝いた昨季並みの働きを今季もできたとすれば、FAのときは記録的な大型契約になるだろう」と語っていたが、もしそうでなくても相当な大型契約をオファーされる可能性が高そうだと、YESの解説陣の話を聞いて思った。大谷の能力や価値はもう誰もが分かっていることで、資金力のある球団にとっては何とか手に入れたい魅力的な存在なのだ。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「水次祥子のMLBなう」)