エンゼルス大谷翔平投手(28)の注目度が、今季はますますグローバル化している。

二刀流でブレイクした昨季は、野球界にとどまらず他のスポーツ界からも当たり前のように大谷の話題が出るようになった。米5大プロスポーツの中でも人気トップのアメフト界では「NFLのショウヘイ・オオタニは誰だ」という特集を組む米スポーツメディアが続出。NFLのスター選手でアリゾナ・カージナルスのJ・J・ワット(33)は「最高峰のレベルで彼がやってのけていることに最大限の敬意を表したい」と大谷を称賛した。

今年は、話題が米国内の5大プロスポーツにとどまらない。先日はUFC世界ミドル級ランキング現在3位の総合格闘家デレク・ブランソン(38)が、ツイッターで「ショウヘイ・オオタニのピッチングは、実に美しい。間違いなく今、投手でベスト」とたたえていた。7月19日のオールスター戦では、カメルーン生まれでUFC世界ヘビー級王者のフランシス・ガヌー(35)が背番号17のエンゼルスのユニホームを着こみ大谷とツーショット写真を撮影しSNSに投稿していた。

驚いたのは、野球とはまったく縁がなかったロンドン生まれのF1レーサー、アレックス・アルボン(26)が大谷の話題を持ち出し、称賛していたことだ。所属しているウィリアムズの公式動画で紹介されていたのだが、アルボンは野球の試合をまったく観たことはないがスポーツニュースの大谷のハイライトだけは楽しみに見ていると明かし「彼は打者で、投手でもあるんだ。信じられないよ」と語っていた。

ほとんど野球を知らないヨーロッパのF1ファンが、これをきっかけに大谷を知り、さらには野球を知るとすれば、MLBにとっては大きなことだ。

おりしもMLBは、これから海外マーケットを積極的に開拓し国際化を加速させる方針だ。ちょうど世界がコロナ禍から回復途上にある中で、来季から4年間の間にロンドン、パリ、東京、メキシコ、プエルトリコで公式戦を開催することが予定されており、24年は韓国での開幕戦開催が有力だという。来年には6年ぶりにWBCが開催されるが、米スポーツビジネス・ジャーナル電子版によると、7月のオールスター会場でMLBと世界野球ソフトボール連盟(WBSC)のフラッカーリ会長らが会合を開いており、出席した幹部は「23年には国際舞台で話題を振りまく」と意気込んでいたという。大谷がWBCに出場するかどうかが注目されているが、グローバルスターのポテンシャルを持った大谷の参戦は、MLBも期待していることだろう。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「水次祥子のMLBなう」)

8月3日のエンゼルス対アスレチックス 2回表、力投するエンゼルス先発の大谷(撮影・狩俣裕三)
8月3日のエンゼルス対アスレチックス 2回表、力投するエンゼルス先発の大谷(撮影・狩俣裕三)
エンゼルス大谷翔平(2022年8月3日撮影)
エンゼルス大谷翔平(2022年8月3日撮影)