オープン戦に出られなくても、「大谷人気」が連日の盛り上がりを見せている。アリゾナ州テンピのキャンプ地。エンゼルス大谷翔平投手(24)が移動すれば、練習を見に来ているファンも一斉に動く。一目見るために、また、サインを求めに長蛇の列ができることも多々。できる限りファンの声に応じようと、最近では約10分以上、大谷がペンを走らせることもある。

「キャンプは(ファンとの)距離も近いので、なかなかそういう機会はシーズンに入ると少なくなる。良い機会だと思う」

昨年10月、右肘内側側副靱帯(じんたい)の再建手術(トミー・ジョン手術)を受け、今季は早期の打者復帰へ地道なリハビリを続けている。キャンプ地のメインフィールドに隣接する室内施設で打撃練習。その後はブルペンで同僚投手の投球を見にサブグラウンドへと場所を移す。グラウンド間を移動するための通路で行うサインが、大谷のファンサービスの時間だ。

5日(日本時間6日)のカブス戦前には、約150人ものファンが長蛇の列を作り、通路を通る大谷を待っていた。球場スタッフのトランシーバーに、大谷が通るとの連絡が入ると、その周辺が騒がしくなる。オープン戦には出場できないが、変わらず高い期待を受けていることに、大谷は「単純にうれしいなと思います。子どもたちもけっこう多かったので」。

エンゼルスファンであろうと、その他のチームのファンであろうと関係ない。7日(同8日)のドジャース戦前には、ドジャースファンも大谷にサインを求めていた。「彼は特別なスターなんだ。誰もやったことがないことを、彼はやっている」と興奮気味だった。

マリナーズのキャンプ地、アリゾナ州ピオリアでは、イチロー外野手(45)がグラウンド間を移動する度に、ファンも一緒になって大群で動いていた。その光景が、大谷を追いかける大勢のファンと重なって見えた。エ軍がキャンプを行う球場のグッズショップでは、約11万円の大谷の巨大ボブルヘッド人形が既に3体売れたという。リハビリ中の段階でもこれだけの人気がある。去年以上に「大谷フィーバー」が巻き起こりそうだ。

【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)

練習後、大勢のファンに求められたサインに応じるエンゼルス大谷(撮影・斎藤庸裕)
練習後、大勢のファンに求められたサインに応じるエンゼルス大谷(撮影・斎藤庸裕)