当然といえば当然だが、勝負の世界は時に残酷に映る。エンゼルスが15日(日本時間16日)、コディ・アレン投手(30)をメジャーの試合に出場可能な登録40人枠から外した。

アレンは昨年までインディアンスに所属し、主に守護神として活躍。通算153セーブと実績がある。1月にエ軍がリリーフの補強として、1年850万ドル(約9億3500万円)で獲得した期待の右腕だった。だが4月中旬から不振が続き、14日のレイズ戦で4安打4失点。その翌日、メジャー40人枠から外された。オースマス監督は「素晴らしい仲間だった。ビリー(エプラーGM)は勝ちたいと思っている。難しい決断だっただろう。アレンはいい人間だし、今後のキャリアを見守り続けたい」としみじみと話した。

アレンは不振から抜け出そうと、ダグ・ホワイト投手コーチらと全体練習以外でも練習を重ね、必死な姿勢を見せていた。2~3月のキャンプでは大谷翔平投手(24)と積極的に会話し、カウボーイブーツを買うように勧めるなど親交を深めていた。「お互いをもっと、知られればと思ってね。一緒にいて、楽しいよ」。新チームになじもうとする姿が印象的だった。

40人枠から外れ、悔しさでいっぱいだったに違いない。それでも「エンゼルスに感謝したい。多くの人が僕の成功を願ってくれていた。本当に有り難い」と気丈に話し、取材対応後には日米メディア1人1人と握手を交わした。オースマス監督が言うように、アレンの人の良さを感じる、最後のあいさつだった。

実績があり、巨額投資をして期待された選手でも、シーズン前半で戦力としてみなされなければ、誰であろうとメジャーでは生きていけない。ただ、今回のケースはチーム関係者でさえ「キャリアのある選手だし、レアなこと」と話すほど、まれだったという。チームは5年ぶりのプレーオフ進出へ、負けられない。アレンへの通告は、厳しくも当然と言える流れだった。【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)