大谷翔平投手(26)が所属するエンゼルスは12勝24敗でア・リーグ西地区の最下位に低迷し、6年ぶりのプレーオフ進出は見込めない状況となった。投手陣が手薄という課題を、メジャー30球団でも屈指の打線でカバーする攻撃的チームと見られていたが、開幕後から多くの誤算が生じ、投打がかみ合わなかった。

打者は豪華メンバーがそろっていた。筆頭はア・リーグMVP3度のマイク・トラウト外野手(29)で、通算打率3割4厘、昨年は自己最多の45本塁打を放った。高打率で長打もあり、通算201盗塁と足も速い。走攻守、全てトップレベルのチームリーダーを軸に、新戦力、ベテラン、若手がバランス良く融合し、強力打線が組まれた。

昨オフ、7年総額で約278億円の大型契約でアンソニー・レンドン内野手(30)が新たに加入。昨季はナショナルズでキャリアハイの打率3割1分9厘、34本塁打、126打点の結果を残し、チームをワールドシリーズ制覇に導いた。

ベテランでは通算659本塁打、2090打点のアルバート・プホルス内野手(40)や通算302本塁打のジャスティン・アップトン(33)、若手は大谷や万能プレーヤーのデビッド・フレッチャー内野手(26)らが主力打者として期待されていた。

開幕を迎えると、苦しい状況が続いた。レンドンが脇腹痛で出遅れ、開幕4試合を欠場。8月9日に打率1割3厘まで落とすほどのスロースタートとなった。その後、3割まで打率を上げたが、プホルス、アップトン、大谷の調子が上がらない。プホルス、アップトンは復調の兆しを見せているが、大谷は依然として打率1割台で苦しんでいる。

いくら名のある打者をそろえても、投打のバランスがとれたチーム力がなければ、結果はついてこない。最終的には、投手力の差が如実に表れてしまった。エ軍は8月31日のトレード期限までに、レギュラー格だったラステラ内野手、カストロ捕手、グッドウィン外野手との交換で、他球団から若手の有望な左腕を含め2投手を獲得した。

来季に向けて再建を進めているとはいえ、自軍で育成した若手の投手もなかなか台頭してこない。補強に加え、チーム力の底上げにも課題が見える。エンゼルスが今後プレーオフ進出を目指すには、思い切った改革が必要となるだろう。【MLB担当 斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)