アストロズのマーティン・マルドナド捕手(34)が、ポストシーズン(PS)で存在感を発揮している。レイズとのア・リーグ優勝決定シリーズ第6戦、1点を追う5回無死一、二塁から犠打。98マイル(約158キロ)前後のシンカーが武器のカスティーヨを相手にきっちり成功させ、1死二、三塁とチャンスを広げて、その後の逆転につなげた。「スライダーが2球来たから、幸運だったよ」とほっとしたように笑顔をみせた。

マルドナドのバントと言えば、2年前に元同僚を相手に見せたことがあった。18年9月2日、アストロズ戦で右肘の故障から復帰登板を果たしたエンゼルス大谷翔平投手(26)と初対戦。初球でバントの構えをして、バットを引いた。不敵な笑みを浮かべていたその時とは違い、今回は勝敗を左右する大事な場面でのバントだった。きっちり成功させると気合十分の表情でベンチへ戻り、チームメートとハイタッチで喜んだ。

豪快な本塁打を放つアルテューベ、コレアら中心選手の活躍が目立つが、マルドナドの攻守での貢献は大きい。第7戦先発の右腕マクラーズは「彼はMVPだ。レギュラーシーズンや地区シリーズでもMVPだと僕は思っている」と絶大な信頼を寄せる。0勝3敗で迎えた第4戦では、6回1死一、二塁の場面でベーカー監督らがマウンドへ集まった際、女房役のマルドナドは先発グリンキーの続投を進言。その後、グリンキーが2死満塁から空振り三振でピンチを脱した瞬間には、こん身のガッツポーズでチームの士気を高めた。

陽気で人なつっこい笑顔を見せ、頼りがいのあるナイスガイ。試合となれば鋭い目つきで負けん気を前面に出し、ルーキーが多いア軍の投手陣を引っ張る。シリーズ3勝3敗で迎える第7戦。試合前には「7戦目。僕らが求めていた場所」と、ツイッターに投稿した。勝っても負けても、大黒柱としてのマルドナドの貢献は、称賛に値する。【MLB担当=斎藤庸裕】

(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)